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初回相談料の設定について

2月 26, 2022

初回相談料の設定について

自分の事務所を開設するにあたり、最初に検討したことの一つは、初回相談料の設定をどうするかでした。

弁理士の場合、初回相談料は無料にされている方が比較的多い印象があり、確かに初回の相談というのは、クライアントの方がどのような案件を抱えているのか、その難易度、内容がわからないことが多く、まずは様子を伺うというスタンスで、無料にされているということかもしれません。

しかしながら一方で、日本弁理士会でも無料の知的財産相談室を開いていますが、そのような相談室での相談の経験がある同業の友達の話では、無料の相談で受けられる内容を知った上で、何度もそのような相談室に出向き、ほぼお金をかけずに知財業務を進めようとする残念な方も中にはいるようで、結論としては、私の場合は初回相談料は無料とせず、ただし本格的に出願業務などを受任することになった場合には、その費用から初回相談料を差し引くという形を取ることに決めました。このように、実際業務を受任した場合に初回相談料を差し引くという方も、比較的多いように思います。

知財というのは目に見えないものですが、知的財産というように、形がないとはいえ法的に定義された財産に関することとなり、その扱いには高度な専門的知識が要求されます。そしてその専門的知識を取得するために、弁理士は多くの時間とコストをかけています。これは他の士業の方にも当てはまることです。よく士業の仕事は初期費用や仕入れが不要と言われますが、実際には士業になるまでに、またクライアントに適切な質の高いサービスを提供するために、多くの時間やコストをかけているわけです。これはよく欧米の方から言われることですが、日本はなぜか文化的になのか、大企業であっても、いまだに目に見えないサービスといったものにお金をケチる傾向が見られます。確かに目に見えない分、サービスの値付けには難しい部分があるかもしれません。そしてネットのある昨今、一見すると法律に関する事などは、少し調べると素人でも簡単に答えが見つかるように思う部分があるかもしれません。確かにネットやリーガルテックなどが進んだ今、士業が今まで提供していたサービスがそれらにとって代わられるということも起こりつつはありますが、時々知り合いの方から知財に関する相談を受ける中で、確かによく調べられててはいるけれども、肝心な法的判断の部分で危ない考え方をされている方がいられて、そういった場合に、プロの出番があるのではと個人的には考えています。

確かに何かビジネスを始めようとする時に、なるべくコストをかけずに進めたいということもよく分かりますし、お金をかければいいというものでもありません。しかし知財に限った話ではないですが、プロに任せたほうが良いことはプロに任せ、時間をお金で買ったり、リスク回避をお金で買うという判断も、非常に大切なことだと思います。知財においても、適切な形でお金をかけているビジネスの方が、往々にしてうまくいっているように見受けられます。