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地域団体商標について

5月 25, 2024

地域団体商標について

※同様の内容について、Spotifyにおいても発信しております(日本語のみ)。

最近、とある地方の製品に関する商標を調べていて、色々と興味深い点があり、地域の特産品に関する商標に関連するお話として、今回は、日本の商標制度のうち、地域団体商標について、紹介をさせていただきます。

例えば地域ごとに、地域に根ざした特産品や農産物、海産物などがあるかと思います。そしてそういった物は、全国的に知られていない場合でも、近隣地域を含めると、その地方ではかなり知られているといったケースがあるかと思います。

地域団体商標は、まさにこのような地域の産品等について、事業者の信用の維持を図り、「地域ブランド」の保護による地域経済の活性化を目的として、2006年4月1日に導入された制度となります。

具体的には、「地域ブランド」として用いられることが多い地域の名称及び商品またはサービスの名称等からなる文字商標について、商法法上の登録要件を緩和する制度となります。

地域団体商標として登録できるのは、「地域の名称」と「商品またはサービス名」等の組み合わせからなるものとなり、ポイントとしては、

  • 商標が文字のみであること
  • 今述べた、「地域の名称」と「商品名」等の組み合わせであること
  • 商標の構成文字が図案化されていないこと
  • 商標全体が普通名称でないこと

となります。

また、登録するためのポイントとしても4つあり、

まず、その地域に根ざした団体による出願である必要があります。具体的には、

(1)事業協同組合等の特別の法律により設立された組合で、
ア)法人格を有する
イ)農業協同組合、漁業協同組合 等、当該特別の法律に構成員資格者の加入の自由が担保されている 

(2)商工会

(3)商工会議所

(4)NPO法人

(5)これらに相当する外国の法人

のいずれかによる出願である必要があります。

なお、これらの他に、一定の条件で一般社団法人も出願できるようになっているとのことです。詳細は下記参考サイトの特許庁の記事をご覧ください。

次に、団体の構成員に使用させる商標である必要があります。例えば、組合であれば組合員に使用させる等の要件を満たさなければなりません。

そして3番目に、地域の名称と商品(サービス)に関連性がある必要があります。例えば、「地域の名称」が商品の生産地に該当する等の要件を満たさなければなりません。

そして最後に、これが特に重要な要件となるのですが、一定の地理的範囲の需要者間である程度有名である必要があります。

具体的には、出願団体又はその構成員の使用により、一定の地理的範囲の需要者(最終消費者又は取引事業者)に知られていることが、客観的事実(販売数量、新聞報道など)によって証明できることが必要とのことです。

既に登録をされている地域団体商標について、都道府県別に特許庁より発表がされているので、こちらについても、下記参考サイトから、ご確認をいただければと思いますが、例えば私の住む兵庫県の例ですと、神戸ビーフ、灘の酒、城崎温泉、有馬温泉、淡路島たまねぎが、地域団体商標として登録がされています。

地域団体商標を登録するメリットとしては、他者への権利行使(攻撃・防御)ができ、他者が不正に地域団体商標を使用する場合、民事・刑事の両面から対抗することができるといった法的効果があげられます。

また、他者に地域団体商標の使用を許諾するライセンス契約を締結することで、ビジネスの幅を広げることができます。

さらに、取引信用度、商品・サービスのブランド力の増大といった差別化効果も期待できます。具体的には、地域の名物として国に保護されている点、お墨付きをもらったという点をアピールすることで、取引の際の信用力の増大や商品・サービスのブランド力の増大につなげることができます。

その他、地域団体商標をその団体で独占的に使用することにより、組合員の増加や、ブランドに対する自負が形成されるといった、組織強化、ブランドに対する自負の形成も期待できます。

参考サイト:

地域団体商標制度とは

地域団体商標登録案件一覧

※写真は、先日旅行に行った別府の明礬温泉地域のプリン食べ比べ(noteに関連記事もあります。日本語のみ、一部有料記事)

大分は別府のプリン食べ比べ、プリン関連の商標について